開業資金は3倍にも!飲食店(固定店舗)とキッチンカー(移動販売)のコスト差

開業前のポイント
開業資金は3倍にも!飲食店(固定店舗)とキッチンカー(移動販売)のコスト差
飲食店の開業にあたり、最も重要と言えるのが開業資金を準備することです。飲食店の開業には多額の資金が必要で、ある程度まとまった自己資金がなければ融資も受けられません。今回は飲食店に必要な開業資金の内訳や調達方法、開業資金から見た固定店舗とキッチンカーの違いについて説明します。

飲食店を開業する際に必要な開業資金について

いつか自分の店を持ちたいと思っていて、提供するメニューもイメージできている。しかし経営の知識がない、という人がまず知っておくべきなのが、飲食店の開業資金です。まずは飲食店で必要な開業資金や自己資金について解説します。

飲食店の開業資金は約1,000万円

店舗型の飲食店を開業するには約1,000万円の資金が必要です。店の坪数や営業形態により開業資金は異なりますが、目安としては見込み年商の50パーセントが目安とされています。飲食店の月商の目標は家賃の7~10倍程度なので、その12ヶ月分の半額を開業資金として用意します。

ただし厨房機器や内外装をそのまま使う「居抜き物件」を利用すれば、店内投資を抑えられるため、開業資金は300万から400万円程度で済む場合もあります。

自己資金は開業資金の3割以上が理想

飲食店を開業するには、開業資金の3割以上の自己資金を用意するのが理想です。開業する人の多くは、開業資金の約3割を自分で用意し、自己資金の倍額の6割にあたる融資実行を受けています。自己資金がゼロの場合、銀行の融資に通る可能性はありません。

ただし以下の場合、自己資金ゼロとしてみなされません。

・解約返戻金がある保険に加入しており、その契約書を提出できる
・配偶者の預貯金の通帳を提出できる
・家族からの贈与があり、預金通帳で確認できる

通帳や契約書など書面で確認できれば、融資に通る場合があります。

飲食店の開業資金の内訳

飲食店の開業資金には内外装費や運転資金、機械や什器、備品、テナント賃借費用、営業保証金などの他に、フランチャイズ加盟店であればFC加盟料が含まれます。こちらでは飲食店の開業資金の中でもとくに大きな出費となる、物件取得費や店舗投資、運転資金に加え、当面の生活費についても説明します。

【開業資金の内訳①】物件取得費

飲食店の開業資金で、費用の大きなものとして挙げられるのが物件取得費です。物件取得費とは、保証金や礼金、仲介手数料などの物件を契約する際に必要な費用です。

借りる物件にもよりますが、賃料の3~10ヵ月分程度が相場になるため、家賃の10倍の資金を想定しておきましょう。また保証金は好立地であれば高くなる傾向があります。ただし物件取得費は、物件を解約する際に8割程度返却されるケースが多いです。

【開業資金の内訳②】店舗投資

開業資金全体の6割以上を占めるのが、店舗投資に関する費用です。店舗投資とは店舗を作るための資金にあたります。例えば厨房機器や看板、内外装の他に、食器や調理器具、ユニホームなどの備品類も含まれます。

お店の業種や業態、店舗の物件条件により金額は異なりますが、内外装費や機材費などで1坪あたり50万~80万程度はかかります。

【開業資金の内訳③】運転資金

お店をオープンした当初は身内や友人、近隣の住人で賑わいますが、その後客足が落ち着き、赤字または赤字に近い状態になる可能性もあります。そのために必要なのが運転資金です。

運転資金は固定費としてかかる毎月の家賃だけではなく、材料費(原価)や人件費、光熱費、備品費などの変動費も含まれます。経営が軌道に乗るまでには最低でも6ヵ月間かかるので、6ヵ月分を用意しておくと安心です。

当面の生活費もあわせて用意する

開業した後はしばらく収入がないことを見越して、オーナーとその家族が暮らしていくための当面の生活費を準備しておきましょう。生活費には家賃や光熱費、食費、子どもがいれば教育費が必要ですが、こちらも経営が軌道に乗るまでの最低6ヵ月分を準備しましょう。

また店舗の立地に合わせて引っ越す場合は、引越し費用もあわせて用意します。

飲食店の開業資金の調達方法

低金利の時代、時間をかけて開業資金を貯蓄していくよりも、可能な限り融資を受け、早めに事業をスタートさせることが得策とも言われています。日本政策金融公庫の融資や信用保証協会の保証付融資を受ける他には、国や自治体の補助金や助成金制度を利用したり、親族や友人から借りたりして資金を調達する方法があります。

日本政策金融公庫から融資を受ける

飲食店の開業資金の融資で、利用者が多い公的な融資機関が、日本政策金融公庫(日本公庫)です。日本政策金融公庫の融資は、他の金融機関と比較すると利息が低いのがメリットです。

飲食店の開業に対応した融資制度には「新創業融資制度」と「中小企業経営力強化資金」があります。両方とも無担保、無保証人で、事業を始めてすぐに利用できるのが特徴です。

とくに「中小企業経営協力化資金」は支店における決済額の上限が2,000万。「新創業融資支援制度」の上限1,000万の倍額です。金利も約1パーセント低いので、飲食店の開業でおすすめの融資制度です。税理士や中小企業診断士など、経済産業省が認定した認定支援機関の指導や助言をもらって融資を申請します。

信用保証協会の保証付融資を受ける

公的な融資機関である信用保証協会の保証付融資は、国が融資を保証し、銀行や信用金庫などの民間の金融機関からの融資を受けやすくするというものです。保証付融資を受けることで、創業融資に消極的な銀行からの融資が可能となります。

しかし銀行の金利に加えて信用保証協会への保証料がかかり、法人の場合は代表者の個人保証が求められます。さらに信用保証協会と銀行などの審査が2段階のため、日本政策金融公庫の倍の期間を要することがネック。

そのため設備資金は日本政策公庫から融資を受け、開業後の運転資金を信用保証協会から受けるなど、使い分ける事業者も多いです。

補助金や助成金制度を利用する

飲食店の開業資金を調達するには補助金や助成金制度を利用する方法も。飲食店向けの助成金や補助金にはさまざまなものがあります。例えば東京都が実施する受動喫煙防止対策補助金は、喫煙専用室などを設置する際に受けられる補助金です。従業員を雇うなら、国が実施するキャリアアップ助成金も申請できます。

助成金や補助金の情報は、管轄する各省庁や自治体のホームページで確認してみましょう。また中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業向けサイト「J-Net21」でも、サイト内で補助金や助成金が検索できます。ただし補助金や助成金の支給は、実際の支出額から支給する金額を算出した後払いとなるので注意してください。

親族・友人から借りる

開業資金を家族や親戚から借りる方法もあるでしょう。借りる際は当然ながら前もって開業の意思を伝えて賛同してもらうことと、きちんとした返済計画を示すことが重要です。また友人からお金を借りる際も同様。無理なく、確実に返済可能な計画を立てる必要があります。

開業資金を抑える!キッチンカー(移動販売)と固定店舗の差

「できるだけ開業資金を抑えたい」という人におすすめなのがキッチンカーでの開業です。店舗を持たないキッチンカーは、固定店舗と比較すると開業資金を大幅に抑えられるのがメリット。開業資金を短期で回収できるため、営業活動の展開もしやすいでしょう。

店舗を借りる際の費用が不要

店舗を借りる際に必要なのが、物件取得費や店舗投資です。とくに費用がかさむのが、内外装工事や備品の購入などの店舗投資です。先ほど説明した通り、固定店舗の開業資金は平均1,000万円ですが、店舗投資にかかる費用は開業資金全体の6割以上を占めます。

一方、キッチンカーは店舗を持たないので物件取得費や店舗投資が不要です。さらに毎月の家賃も発生しません。開業資金は平均300万円~500万円で、固定店舗と比べると約1/3~1/2で済むのです。

固定店舗と比べて運転資金も少なく済む

運転資金は業態によって異なりますが、固定店舗の運転資金は人件費や家賃、仕入れ代金の最低6ヵ月分は確保しておくと安心です。対してキッチンカーは1人から2人で運営するため人件費がかからず、家賃も不要。用意する運転資金が固定店舗よりも少なく済みます。

キッチンカーの毎月かかる運営費は、車両の駐車場代金や保険料、車検代の他、仕入れ代金などを含めると毎月10万~20万必要です。その半年分を運転資金として確保しておくのが望ましいでしょう。

開業資金を抑えられるので回収が早い

飲食店の経営を成功させるには、初期投資を抑えて短期回収につなげることが大切。初期投資の回収が早いと、損益分岐点を短期間で越えられます。

利益体質の経営が実現できれば、次のビジネス展開もしやすいです。最初は移動販売で営業し、いずれは固定店舗を持つことも夢ではないでしょう。または新たにキッチンカーの2号車で業務を拡大することも可能です。

飲食店の開業資金を抑えて低リスクの経営を

店舗型の飲食店を開業するには約1,000万円の資金が必要です。融資を受けられるよう、自己資金を開業資金の3割ほど準備しましょう。

ただし資金を借入しても返済が滞れば事業の継続は難しくなるため、開業前には無理のない資金計画を立てることが重要です。飲食店を始めるなら、開業資金を抑えて低リスクで経営が可能なキッチンカーがおすすめです。